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藤田 隆明; JT-60チーム
Physics of Plasmas, 13(5), p.056112_1 - 056112_10, 2006/05
被引用回数:5 パーセンタイル:18.22(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいては、加熱パワーの入射時間を10秒から30秒に伸長し、電流拡散時間を超え、壁飽和時間に近い時間スケールでのプラズマ特性の研究を開始した。負磁気シアプラズマにおいて、高自発電流割合75%を7.4秒間(電流拡散時間の2.7倍)維持した。電流分布及び圧力分布は定常状態に近づきつつあるが、プラズマ内部の周回電圧分布は一様ではなく定常に達するにはなお維持時間を伸長する必要がある。高プラズマ圧力Hモードにおいては、規格化ベータ値2.5を15.5秒間維持し、周回電圧分布が一様となる状態を実現した。後半において壁排気量の低減により周辺密度が上昇するとともに密度,温度分布が平坦に近づき閉じ込めが劣化し、壁排気の変化に伴う密度の制御が重要であることが明らかとなった。高密度放電を繰り返すことにより、壁の粒子吸蔵量が飽和し壁排気がゼロとなる状態をJT-60で初めて得た。スクレイプオフ層プラズマにおける粒子輸送の解析により、主プラズマ周りの第一壁が100秒程度の時定数で飽和していることを明らかにした。リップルを低減するためにフェライト鋼を真空容器内に設置するのに先立ってトロイダル磁場のリップルによる高速イオンの損失がHモードの境界輸送障壁に及ぼす影響を系統的に調べた。その結果から、2005年12月からのリップル低減後の実験では、プラズマ性能の向上が期待できる。
Peterson, B. J.*; Alekseyev, A. G.*; 木島 滋; 芦川 直子*; Parchamy, H.*; 笹尾 真実子*; 三浦 幸俊
no journal, ,
プラズマの放射する広い波長範囲の電磁波や高エネルギー粒子のエネルギーを薄膜で吸収することがイメージング・ボロメータの基本原理である。エネルギー吸収の結果発生した薄膜の温度変化を真空容器の外に設けた赤外線カメラによって測定する。核融合炉に必要な放射損失や損失粒子計測への適用を目指してイメージング・ボロメータの開発を行っている。放射損失計測の場合、ピンホールカメラの背後に置いた薄膜には放射損失分布の二次元画像が映し出される。損失粒子の計測の場合には、薄膜の一方向で多重膜の厚さを変化させてエネルギーの弁別を行い、残る一方向でピッチ角の分解を行う。大型ヘリカル装置及びJT-60Uトカマクにおけるイメージング・ボロメータ計測,較正実験,イオンビーム装置を用いた損失粒子計測検出部の予備実験、及びITER用イメージング・ボロメータと損失粒子計測の設計などを中心に報告する。
相羽 信行; 徳田 伸二; 石澤 朋子*; 小関 隆久
no journal, ,
本研究は、線形理想MHD安定性解析コードMARG2Dの開発と、このコードを用いたJT-60Uプラズマの安定性評価を行うことを目的に進めている。今回の会議では、MARG2Dコードの上下非対称化に伴ってJT-60Uプラズマにおける理想MHDモードに関する実験解析が可能になったこと、及びその解析の例としてエッジローカライズモード(ELM)と呼ばれる現象に関係したMHDモード(ピーリング・バルーニングモード)の安定性を評価したことを報告する。この解析結果は、現段階では十分実験結果を再現しているとはいえないが、その原因の解明を含めた詳細な実験結果の解析は今後進めていく。また、MARG2Dの基づく物理モデルには漸近接続法による物理モデルの拡張が容易であるという利点がある。漸近接続法を用いると、理想MHDモデルからのずれが安定性に大きな影響を与える領域である有理面近傍(内部層)とそれ以外の領域(外部層)を、それぞれ別の方程式に従うとして取り扱うことができ、このうちの内部層に関する方程式を変えるだけで物理モデルを拡張できる。MARG2Dは同方法によるモデルの拡張を実現すべく開発を進めており、現段階では外部層を取り扱う方程式を数値的に解き、また内部層方程式を解く際に必要な境界条件(接続データ)の計算が可能である。この接続データの計算に関する詳細も上記のELMに関する結果と併せて報告する。
石井 康友; 安積 正史; Smolyakov, A. I.*
no journal, ,
本研究では、トカマクプラズマの性能劣化を引き起こす磁気島形成の機構を、プラズマ中の流れを考慮して、数値シミュレーションにより調べた。トカマクプラズマでは磁気島形成を引き起こすティアリング不安定性に対して、独立状態では安定と考えられる磁気面において磁気島が形成される現象が観測されている。このような安定な磁気面での磁気島形成は、外部摂動に起因すると考えられているが、その全体的な描像は未解明である。本研究では数値シミュレーションにより、現実のトカマク放電のパラメータ領域近傍では、磁気島の急激な成長を引き起こす臨界値が抵抗値には依存するが、粘性値にはほぼ依存しないことを明らかにした。また、流れのあるプラズマ中でのこのような磁気島の成長には、散逸依存領域と散逸非依存領域が存在することを見いだし、高温プラズマでは散逸依存領域が支配的となる可能性を示した。この結果は、実験計測と理論予測を比較する際に重要となる。
影井 康弘; 岸本 泰明; 三好 隆博*
no journal, ,
本講演では、数値トカマク実験(NEXT)計画の下で新たに開発された「有限体積/スペクトル法」に基づく非線形トロイダルシミュレーションコードについて、その解析手法を示すとともに、当コードを用いて行った高ベータトカマクプラズマの圧縮性MHDシミュレーションの結果について報告する。特に、エネルギーソースやスケールの異なる低n電流駆動モード(内部キンクモード)と高n圧力駆動モード(バルーニングモード)の両者に対して線形不安定であるようなプラズマについて、言わば「マルチスケールシミュレーション」を実行し、高ベータトカマクプラズマの巨視的な低n電流駆動モードの微視的な高n圧力駆動モードとの相互作用に関して、その非線形ダイナミクスを明らかにした。